脚本家学校07 シナリオ・センターを辞めた理由

シナリオ・センター(通称シナセン)のシナリオ作家養成講座(初心者コース)はとても楽しく実力も上がりました。プロの脚本家の授業を80人ぐらいで受ける手軽さと、授業前に提出した宿題が授業後には添削されて返ってくる速さが良かったのですが、ゼミナール研修科(実践コース)は全く違いました。

シナリオ・センターの作家養成講座は半年間なので、私は研修科に進級しました。講師が1人で生徒は毎回10人未満でした。講義はなく、20枚シナリオ(課題が決められた200字詰め原稿用紙20枚の脚本)を書いてきた2人ぐらいの生徒がみんなの前で朗読して、他の生徒が順番に一言ぐらいの感想を言います。

2人ぐらいしか20枚シナリオを書いてこないので、残りの人はただ感想を言うだけです。たまにしか出席しない人や出席しても感想を言うだけで月一ぐらいしか書かない人が多かったです。毎週書いて、研修科から作家集団(最上位コース)に早く進級したかった私も、月一で書けばいいかと思い始めました。

私は2週連続で20枚シナリオを書いたあと、数か月通ってシナリオ・センターを退会しました。他人の脚本を耳で聞くだけではよく分からなかったのと、どうすれば良くなるのか指摘がなかったからです。自分で改善点を考えないといけないのであれば通う意味ないので、シナリオ・センターを退会しました。

20枚シナリオを生み出した新井一さんの「シナリオの技術」(「シナリオの基礎技術」の続編)には、分からないという意見が出たらなぜ分からないのか、面白いセリフならなぜ面白いのか、課題の意図が表現されているのかなどを解明するのが20枚シナリオの実習の勉強方法だと書かれています。

私はそういうのを期待していたのですが、議論するのではなく感想だけで終わりでした。生徒側の問題なのですが、欠点を指摘することが相手のためになると勘違いして、やる気を無くさせる迷惑な生徒がいるので、短い感想を言うだけになったのだと思います。シナリオ・センターも商売なので仕方ないです。

他のシナリオスクールの講師も他人の欠点ばかり指摘する迷惑な生徒のことを書いていたので、シナリオ・センターに限らず、シナリオスクールには実力もないのに他人の作品を酷評する生徒が普通にいます。シナリオ・センターの生徒のブログを読むと、そういう人が嫌で退会した人も多いです。

大賞を受賞した人の指摘なら参考になりますが、最終審査に残った程度の人の意見では受賞できない脚本になるだけなので意味ないです。私は特に嫌な批判を受けたとかはなく、褒められて嬉しかったりしたのですが、今後の参考になるような感想は無かったし、私もたいした感想を言えてなかったです。

シナリオ・センターの研修科では、感想だけを言うように決められているのですが、感想だけでも問題があります。褒めてほしい人と欠点を指摘してほしい人がいると、どちらも不満でしょうし、作家養成講座の添削であったような、ちょうどいい感じに褒めてダメ出しすることは、生徒には難しいです。

感想の内容は講師や生徒の実力に大きく左右されます。シナリオ・センターには複数のクラスがあるので別のクラスに変わることもできますが、人気講師や大賞受賞者のいるクラスは生徒が多く誰かが辞めるまで参加できません。クラスが変わっても同じような実力の人の感想を聞くことになるので意味ないです。

作家養成講座の講師は教え方も上手く、プロの脚本家なので業界の裏話など聞けて参考になることがたくさんありましたが、研修科の講師はたいして指導してくれるわけでもなく、不安になりました。ネットで脚本を公開して感想を聞くのと変わらないので、私はシナリオ・センターに通う意味ないと思いました。

20枚シナリオの実習は特定の技術を習得するためのすごくよくできた意味のある勉強方法なのですが、課題の意図は簡単な紙を渡されるだけで、詳しく教えてもらえないです。課題の意図さえ表現できていればいいという勉強方法なのに、発表してから講師に課題の意図を教えられても遅いし意味ないです。

シナリオの技術」に課題の意図が詳しく書かれていますが、全員が買って読むわけではないです。課題の意図を理解しないで書いても意味ないです。20枚シナリオではストーリーを書かないと決められているのですが、ストーリーを書いた方が褒められやすいので、ストーリー重視の発表が多かったです。

作家養成講座は「シナリオの基礎技術」の内容そのままで、例を新しく意味を分かりやすく解説した授業だったので勉強になりました。研修科は「シナリオの技術」に書かれている20枚シナリオの実習の勉強方法の内容とは違うところがあって、私は意味ないことをやっているのではないかと不安になりました。

研修科はコンクールに応募する人が多く、コンクール前の出席者は少ないです。感想を聞けないと意味ないので休学の申請をしても、在籍料として月謝は払い続けないといけません。コンクールのたびに休学では、お金がもったいないので退会しました。私がシナリオ・センターを退会した一番大きな理由です。

他の問題は評判のいい講師に出会えたり、続けると慣れるかもしれませんが、出席者が少なく感想をほとんど聞けないのでは、シナリオ・センターに通う意味ないです。授業を休む生徒が悪いのではなく、シナリオ・センターの20枚シナリオを書くよりコンクールに集中するのは、当たり前のことだと思います。

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私はシナリオ・センターの作家養成講座の20枚シナリオしか最後まで書いていませんが、コンクールで何度も受賞できているので、20枚シナリオを書くよりもコンクール用の脚本を書いた方がいいと思います。20枚シナリオを優先させても、シナリオ・センター内での評価が上がるだけで意味ないです。

シナリオ・センターは20枚シナリオを全て書いて作家集団まで進級しないとライターズバンクというシナリオ・センターのコンペに参加できませんが、コンクールで受賞すると参加できるので、シナリオ・センターを退会せずに通い続ける場合でも、20枚シナリオよりコンクールを優先した方がいいです。

私が研修科で初めて書いた20枚シナリオは数年後にラジオドラマに書き直して受賞することになります。20枚シナリオをネットで公開する人もいますが、20枚シナリオは書き直してコンクールに応募した方がいいです。公開しても意味ないだけでなく、アイデアを盗まれたりするので、もったいないです。

私がシナリオ・センターのゼミナール研修科で書いた20枚シナリオをコンクール用の脚本に書き直して、受賞して放送用の台本になるまでの過程の脚本は以下にまとめてあります。
脚本の直し01 シナリオスクールの課題が放送台本になるまで

シナリオ・センターのシナリオ作家養成講座の講義内容は参考書「シナリオの基礎技術」を読むと分かります。昔の本なので、シナリオ・センターのシナリオ作家養成講座の講義では、分かりやすく説明していました。シナリオ・センターの20枚シナリオに関しては続編の「シナリオの技術」に載っています。
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脚本家学校05 シナリオ・センターの体験談

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