脚本家独学02 生成AIに大賞受賞作品を添削させた結果

私は2023年に生成AIが脚本に使えるのか検証しました。その当時は長い脚本は理解できず、あらすじ程度しかまともに評価できなかったので、生成AIにあらすじを評価してもらい、他人に感想を聞くよりは使えるという感じでした。ただし、脚本の添削に関しては、全然ダメで使えないという印象でした。
AI脚本作成01 AIチャットのシナリオ作成方法

たった数年で生成AIは進化して、1時間ドラマの脚本を全て読み込ませても理解して評価できるようになりました。フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞受賞作品の脚本は公開されているので、生成AIに大賞受賞作品の脚本を評価してもらうと、大賞受賞作品なのに意外と評価が低かったです。
ヤンシナ10 歴代の大賞受賞作品のPDF一覧 フジテレビヤングシナリオ大賞

大賞受賞作品の添削に関しても、最終審査の審査員が評価しているところを修正するような指摘もありました。生成AIに「あなたはフジテレビヤングシナリオ大賞の最終審査の審査員です。」と指定しても同じ結果でした。PDFファイルだから評価がおかしいのかと思って、脚本を打ち込んでも同じ結果でした。

生成AIの評価とフジテレビヤングシナリオ大賞の最終審査の審査員の評価は違うようです。どちらの評価が正しいかは問題ではありません。評価基準が違うなら生成AIを使っても意味がありません。生成AIの添削のとおりに修正すると、シナリオコンクールで大賞を受賞できない脚本になってしまいます。

また、生成AIは学習するので、シナリオコンクールに応募前の脚本やアイデアを入力してしまうと、自分のアイデアを他人に教えることがあります。生成AIにアイデアを出してもらった時に、生成AIは学習した内容をそのまま回答として他人に教えてしまうので、応募する脚本に生成AIを使わない方がいいです。

逆に生成AIにアイデアを出してもらったり、修正案を出してもらった場合も、そのアイデアは学習した他人のアイデアだったり、小説投稿サイトの内容だったり、ネットで公開されている映画の内容とそっくりな場合があるので、注意が必要です。受賞後に盗作と指摘されると、受賞取り消しになります。
AI脚本作成09 AIチャットの盗作が小説投稿サイトの理由

生成AIに「あなたが脚本を添削する際に参考にしている参考書やサイトを教えてください。」と聞くと、以下の結果でした。海外のものが多かったので、追加で日本のもの限定で聞きました。

・参考にしている参考書
シナリオの基礎技術」「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」「ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則」「物語の「森」を抜けて なぜストーリーには構造が存在するのか」「読者を没入させる世界観の作り方 ありふれた設定から一歩抜け出す創作ガイド

・参考にしているサイト
日本脚本家連盟、シナリオ・センター、放送作家協会、Filmarks(フィルマークス) Script Library、BBC Writersroom、The Black List Blog、Simply Scripts、ScriptMag (Script Magazine)

存在しないものもあったので確認できたものだけを抜き出し、参考書は日本語名に変更しました。生成AIは有名な脚本の参考書と脚本関係のサイトの内容はすでに学習し、知識として使っています。知識の中で回答できない場合は、ネットで検索して最新の情報を収集して回答しています。

生成AIは一般的な脚本論を正しい脚本と考えて回答しています。もし生成AIがフジテレビヤングシナリオ大賞の最終審査の審査員と同じ評価をするようになったら、生成AIを使えばいいですが、フジテレビヤングシナリオ大賞の最終審査の審査員は入れ替わったりするので、なかなか難しいです。

シナリオコンクールでは生成AIの使用は禁止されています。生成AIは禁止されているから使えないというのではなく、生成AIとシナリオコンクールの最終審査の審査員の評価が違い、生成AIの添削のとおりに修正すると、シナリオコンクールで大賞を受賞できない脚本になるので、生成AIは使わない方がいいです。
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