創作テレビ06 なぜNHKっぽい作品が応募されるのか? 創作テレビドラマ大賞

創作テレビドラマ大賞の募集要項に「1人1作品。複数作品を応募した場合、選考対象外となります。」と書かれています。一人一作しか応募できないので保守的になりがちです。フジテレビヤングシナリオ大賞など複数応募できるシナリオコンクールと比較すると分かりやすいです。

フジテレビヤングシナリオ大賞は1人で複数応募できます。複数応募できると、自分の好きなように書いた作品も、傾向と対策を考えたガチガチの作品も、同時に応募できます。フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞受賞作品は真面目なものからエンタメ性の高いものまで幅広いジャンルから選ばれます。

創作テレビドラマ大賞のように一人一作だけになると、どうしても傾向と対策をした作品を応募することになり、結果的にいわゆるNHKっぽい作品ばかりが応募されてしまいます。社会問題をテーマにしたり病気を扱った作品です。一人一作だけなので、わざわざ傾向から外れた作品を書いて、挑戦できません。

創作テレビドラマ大賞は募集要項の発表と同時に、日本放送作家協会で創作テレビドラマ大賞の公開講座の募集も行われます。私も何回か公開講座を受講しに行きましたが、NHKのテレビドラマ関係者の講演では毎回、NHKっぽい作品以外でも大賞を受賞できると説明しています。
創作テレビ04 なぜNHKっぽい作品なのか? 創作テレビドラマ大賞

ハッピーエンドでなくてもいい、道義的に間違っているような作品でもいいとまで言ってました。とにかくどんな作品でも全く問題ないと繰り返し説明します。創作テレビドラマ大賞はNHKっぽい作品しか受賞できないのかという質問が多く、NHKっぽい作品しか最終審査に残らないからでしょう。
創作テレビ05 NHKっぽい作品とはどんなドラマ? 創作テレビドラマ大賞

第50回の創作テレビドラマ大賞から募集要項が変更されました。放送の項目で「入賞作品(大賞、佳作または奨励賞)はNHKでの制作、映像化を検討します。検討にあたっては、NHK、NEPプロデューサーとの推敲作業があります。」と変更されました。NEPはNHKグループのコンテンツ会社です。

第49回までの創作テレビドラマ大賞の募集要項の放送の項目は「大賞作品はNHKで制作・放送します。制作に際して、作者と相談のうえ補訂することがあります。」でした。どのシナリオコンクールの大賞受賞作品もそのままドラマ化されることはなく、放送局との推敲作業の後にドラマ化されます。

大賞受賞作品の推敲作業があるのは珍しくないです。大賞受賞者は大賞受賞作品を変更されることを嫌がり、そのままドラマ化して欲しいので、もめることも多いです。もめないために、日本放送作家協会はドラマ化に関係なく、NHKと一緒に推敲作業があると、わざわざ書いたのではないかと思います。

それよりも、創作テレビドラマ大賞の大賞受賞作品がドラマ化されるとは限らなくなった方が重要です。創作テレビドラマ大賞は日本放送作家協会とNHK共催のシナリオコンクールなので、NHKだけの意見では大賞受賞作品は決まりません。今までは大賞受賞作品が必ずドラマ化されていました。

フジテレビヤングシナリオ大賞は「原則として大賞・佳作のうち1編を映像化し、放送します。」なので、必ずドラマ化されます。テレビ朝日新人シナリオ大賞は「大賞・優秀賞作品は、テレビ朝日のプロデューサーと共に推敲作業の上で、映像化の検討をいたします。」なので、あまりドラマ化されません。

創作テレビドラマ大賞の募集要項はテレビ朝日新人シナリオ大賞にかなり似ているので、あまりドラマ化されなくなると思います。NHKが放送したい作品しかドラマ化されないようになったと思われて、さらにNHKっぽい作品が創作テレビドラマ大賞に応募されるのではないかと思います。
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