脚本書き方02 脚本のセリフの登場人物の分かりやすい書き方

私が通っていたシナリオスクールでは、セリフの登場人物は男性は苗字、女性は名前で書くと教えられました。ただ、全部がそうではありません。実際の脚本で説明します。登場人物は以下の通りです。
 登場人物
金田伸司(36)  簿記の先生
友田多夏子(18) 高校生
平安ゆりか(17) 高校生
吉岡美冬(17)  高校生

セリフは以下のようになります。男性は苗字、女性は名前がセリフの前に付きます。
金田「はい、授業始めます。今日は前回の続きの……」
ゆりか「簿記の授業ってほんと退屈やわ。なあ、多夏子」
多夏子「ゆりかは真面目に授業聞いたことないじゃん」

以下は女性3人の会話です。
多夏子「そうだ、今日さあ。パジャマ買いに行こう」
ゆりか「ええなあ、お揃いのかわいいの買おうや」
多夏子「吉岡さんも」
吉岡さん「いいの?」
多夏子「当たり前でしょ、同じ班なんだから一緒に寝るのよ」
ゆりか「夜は枕投げして、怖い話して寝かさへんからな」
多夏子「やめてよ」
吉岡さん「楽しみ」

多夏子「吉岡さんも」
美冬「いいの?」
ではなく
多夏子「吉岡さんも」
吉岡さん「いいの?」
になっていることがポイントです。

吉岡美冬は友達からも美冬ではなく吉岡さんと呼ばれています。吉岡さんと呼ばれているのに、美冬のセリフにするより、吉岡さんのセリフにする方が分かりやすいです。ト書きなどで使われる名前も全て吉岡さんで統一した方がいいです。同一人物なのに脚本の中に吉岡さんと美冬があると混乱します。

例えば、吉岡さんと仲良くなって、途中でみんなから美冬と呼ばれるようになる場合は、美冬でもいいです。初めは吉岡さん「……」で途中から美冬(吉岡さん改め)「……」と書いて以降、美冬「……」と書いてもいいです。分かりやすい書き方を選びましょう。

男性は苗字、女性は名前というルールは男性は苗字、女性は名前で他人から呼ばれることが多いことから生まれたルールだと思います。女性で苗字呼びされる人も、男性で名前呼びされる人もいます。普段呼ばれている呼び方をそのまま使う方が分かりやすいです。

家族の場合は苗字が同じなので、その場合も名前の方が分かりやすいです。普段からニックネームで呼ばれている人ならニックネームでもいいです。重要ではない登場人物は名前を呼ばれることが無いので、店員とか客1、客2でいいです。

ドラマ「ホタルノヒカリ」の脚本を読むと、セリフの登場人物名が工夫されていました。主人公の雨宮蛍はホタルと読みやすくカタカナになっていました。高野誠一は主人公から部長と呼ばれているので、高野部長です。山田早智子は山田姐さんとあだ名を使っていたり、分かりやすくて、なるほどと思いました。
ホタル「……」
高野部長「……」
山田姐さん「……」

私がシナリオコンクールで受賞した時の登場人物の名前は、以下のような適当な名前でした。
 登場人物

男猫1
男猫2
男猫3
黒猫

娘1
娘2
女猫1
女猫2
女猫3
三毛子
 登場人物


これでも受賞できているので、登場人物の名前やセリフの表記にこだわっているのはシナリオコンクールに応募する人たちだけで、シナリオコンクールの審査員は何とも思っていないのかもしれません。

とにかく登場人物表を見ないと誰が誰だかよく分からないというのは、脚本を読む人のストレスになります。はっきりしたルールはありませんが、分かりやすくストレスなく読めるようにすることが大切です。
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