傾向と対策13 悪いところを直しても面白くならない

シナリオコンクールの応募作を読んで酷評してほしいみたいな人がいますが、悪いところを直しても面白くなりません。分かりづらい部分を直すと、説明が多くつまらなくなります。何の欠点もなくみんなが納得するような脚本は無難な脚本です。どこかで見たような面白くもない脚本にしかなりません。

私は箱書きした状態で、脚本を締め切りギリギリに1日で書いて、ほぼ初稿で応募してます。他人の意見を全然聞かなくなってから受賞できるようになりました。他人の意見を聞きたくなるでしょうが、審査員以外の人に聞いても何の役にも立ちません。指摘が正しいなら、その人が受賞してないとおかしいです。

お金を貰って他人の脚本を添削する人やシナリオコンクールに応募する人は過去のシナリオコンクールの受賞作を基準に評価するので、そういう人たちを信じて修正すると、過去の受賞作と同じような傾向になります。シナリオコンクールの審査員は過去の受賞作と同じような傾向の脚本を評価しません。

シナリオコンクールで最終審査止まりの人にありがちな症状です。添削して貰ったり他人に意見を聞くと欠点が無いので最終審査までは行けるかもしれません。最終審査は複数の審査員が読みます。悪いところはないですが、過去の受賞作と似たような脚本なので、審査員の誰にも受賞させようと思われません。

シナリオコンクールでは審査員の誰か一人でも強く推せば佳作は受賞できます。毎回、最終審査までは行くのに受賞できない人は、添削もやらず誰の意見も聞かずに脚本を書いてみた方がいいでしょう。シナリオコンクールで受賞できてないのだから、添削や他人の意見は何の役にも立たなかったと思いましょう。

とりあえずプロットを考えて意見を聞いたり、添削してもらって修正するみたいなことをする人も多いですが、他人のアイデアの寄せ集めで、勢いがなくなります。審査の良いところまでは行くかもしれませんが、欠点が無い代わりに特にその人にしか書けないものも無いので、大賞を受賞できません。

自分で考えることに無意識で制限がかかってしまい個性がなくなります。実際のドラマはいろいろな人の意見を聞いて修正します。視聴者の年齢層が幅広く、ながら見してても分かるような内容にしないといけないからです。シナリオコンクールは審査員だけを対象にするので、そんなことしなくていいです。

プロの脚本家として仕事をするようになったら、何度も脚本を修正させられて心が折れるので、アマチュアのうちから酷評されておいた方がいいみたいな考え方の人もいますが、そんなことばかりしてると、誰にも酷評されない無難な脚本しか書けなくなります。

脚本は悪いところを直しても面白くなりません。そんなことをするより、良いところを伸ばした方がいいです。悪いところが気にならないぐらい良いところを伸ばすことが、シナリオコンクールで大賞を受賞する方法です。
この記事のタイトルとURLをコピーする 傾向と対策
傾向と対策