傾向と対策11 面白いではなく面白そうを目指す

「こたつめがね式」のシナリオコンクールで大賞を受賞する方法は「審査員が面白そうなものを書く」です。自分が面白いと思う脚本を書くことではありません。審査員に面白そうと思われる脚本を書いて応募することです。「面白い」は読んだ後の感想です。「面白そう」は読む前の感想です。

簡単なあらすじを話したときに面白そうと思ってもらえれば、相手が興味を持った状態で読むので、ただ何となく読むより面白く読んで貰えます。シナリオコンクールでは脚本以外に、あらすじや人物表なども提出します。脚本を読む前の段階で、すでにシナリオコンクールの審査は始まっています。

私の受賞作「簿記の先生がうるさい」は審査員の脚本家3人全員に褒められました。タイトルが面白いので、面白そうと思われたからです。実際は読んでみると面白くなくて、類型的でステレオタイプだと酷評されました。懇親会でも一番期待していたのにタイトルほどの内容じゃなかったと怒られました。

「簿記の先生がうるさい」は佳作を受賞できました。タイトルだけでシナリオコンクールの審査員に面白そうと思われ、面白そうと思われたまま読んで貰えたからです。内容は酷評されているので、初めに面白そうと思って読んで貰えるだけで、どれだけ得をするか分かると思います。

放送できるかなんて考えなくていいです。いかに面白そうに思って読んで貰えるかが重要です。「簿記の先生がうるさい」は佳作でしたが、放送されました。放送される前に直しと呼ばれる修正作業があるので、タイトルとアイデアだけ残して脚本はほとんど変更しました。

タイトルさえ面白ければ、シナリオコンクールで受賞できるのかと思うかもしれませんが、みんなが面白いタイトルにすると、シナリオコンクールの審査員は面白そうと思いません。またタイトルだけの脚本かと思われます。みんながやってないようなことを探しましょう。

シナリオコンクールの審査員が面白そうなものを書くことが大事です。審査員が面白そうなものは、応募された脚本の傾向に大きく左右されます。どれだけ面白そうなことをやっても、他にも同じことをやって応募してくる人がいた場合、面白そうと思われません。

自分が面白いと思う脚本を書いたから評価してくれなんて人は誰からも評価されません。シナリオコンクールで大賞を受賞したいなら、審査員や自分以外の応募者のことを考えて応募しなければなりません。読んでみたら面白い脚本よりも、読む前から面白そうと思われるように考えましょう。
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